日本ミツバチとスズメバチ

2013-08-31

natsu

 ご存知の通り、日本ミツバチは圧倒的に強いスズメバチに対して、勝つ方法を知っている。
 この時、ミツバチたちは、個々の意志で動くのではなく、集団として意志を持ち、
 個々の命を惜しむことなく、捨ててスズメバチに挑み、やがて勝利する。
 この意志は、心理学でいうところの集団心理とは、まったく違うものだと思う。
 そしてこの方法を実行できるのは、世界中で日本のミツバチだけなようだ。
 これは、蜂の世界の話なのだけども、僕は、なぜかそこに日本人らしさを感じてしまう。
 もちろん、この考えは、悪用されれば、特攻隊のような悲惨な話を
 肯定してしまって、自己犠牲を美化し強要させられる事態を招くおそれがある。
 こちらのほうは、心理学でいうところの集団心理だろう。

 ここは、少し冷静に考えてみたい。
 逆に、もしスズメバチ側からしたら、この恐ろしい日本ミツバチをどうしたものか?
 アメリカ人のような智恵のあるスズメバチがいたとしたら、
 きっと、こうミツバチにささやくだろう

 なぜ集団の犠牲になるんだい?
 君には、生きる権利があるんだよ
 自由に生きるとは楽しいことだよ
 プライバシーは守らなきゃだめだよ。
 女王様に忠誠をちかうなんて馬鹿らしいよ
 まず個人の幸せが優先されるべきだよ

 たぶん、こんな具合ですか?
 このささやきに耳を信じたミツバチは、自分らしく生きたつもりでも
 結果として、スズメバチに滅ぼされることでしょう。

 むかし、ハワイにキリスト教の宣教師が伝来し
 生きがいや、人間らしさをハワイの人に説いたら
 十年で人口が十分の一に減少しとても抵抗力のない人たちになったとか、、?

 話は変わって、サッカーのなでしこジャパンが、ワールドカップで優勝をさおさめたとき
 あの闘いかたこそ、日本ミツバチいや日本人の特性を活かした瞬間だと思った
 個々の思惑を離れ、集団として意志を持ち始めた時、
 個々の能力では勝てない相手に勝利することができる

 それが、証拠にそこにいた彼女たちは、全員が笑顔だった。
 この方法が、日本の文化であるような気がする。
 個々で戦えば、勝ち負けが生じて、成し得たものだけが笑顔を獲得する
 個々を捨てて、集団で戦えば、結果とは関係なく、全員が穏やかになれる
 自己を犠牲ということばは、ネガティブに捉えられるように作られた感があるが
 結果として、幸せは、集団で獲得したほうが楽しいに決まっている
 自分だけが幸せで良いという考えは、実は矛盾しているような気がする。

 近代は、まさにこの矛盾を押しつけて強要する時代であるような気がする。
 矛盾のままじゃあ、みんなで笑顔になれないような気がする。

 


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