舞台の袖で早変わり
ここで言う早変わりは、衣装に仕掛けがあるわけでもなく、ただただ一生懸命早く着替えると言う話です。
本来、着替えは楽屋でしますが、それでは間に合わない場合は、舞台の袖やセットの裏にある早変わり場所で着替えます。
この場合、衣装は自分で、あらかじめ袖に用意しておきます。
このあらかじめ用意するというのがみそで、いろいろなドラマが展開します。
ある舞台で、江戸の火消しの役だったのですが・・
「どけどけどけぇー、」といさましく纏をかざして、芝居をしてたら・・
なんか、変な人がいるんですよ・・・で、よく見たら・・
下になんにもはいてない
ええーわ、忘れたんだ
本人は、あせってるのか、くそまじめな顔して芝居してるし
もー、それみながら演技するこっちの身にもなってよ、
台詞は、おおまじめで、心の中は大爆笑ですよ
そうです、役者は常に気持をこめた芝居をしてます。(嘘)
そんな中、ある舞台で、かなりシビアな早変わりが委せられました。
まあ、僕ぐらいのクラスにならないと無理でしょうきっと、と思われる難易度の高いやつです。
しかも、となりでは、大大大御所が、同じく着替えます。
こちらは、専属の衣装さんが二人、床山さん、付き人といっぱいいます。
そして、こいつ大丈夫かよという目で見られながらも、無難にこなし、
で、すこしだけ、余裕が出てきたある日・・・
やられました
なんと、帯が結んでありました
「げげー」と思いながらも、やっとのことで間に合わせました。
すると、次の日から、毎日のように仕掛けてくる、仕掛けてくる
衣装が縫い付けてあったり、隠してあったり、
しかも、相手は大大大御所のスタッフですし、・・
これは、いじめとも、思いました。が
ふと、考えると、最後は必ず、僕は間に合ってました。
ま、まさか、この人達は、僕の着替えの力量に合わせていたずらをしかけてきていた。
まさに、神業に近いこれぞ、プロのわざですね。
そして、気がつけば、仲良くなっているのです。
そこには、会話も何も必要ではありませんでした。
こうして、いつのまにか僕もプロの仲間入りをしていくわけです。
そうです。舞台にいじめは、ありません