イザベル・ユペール

2009-04-02

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 マスコミの人に対する毅然とした態度と、ファンの人達に向けた親しみに満ちた笑顔。知的であり、情熱的な彼女は、間違いなく世界を代表する女優の一人ですね。  前のブログで、触れた映画「ママン」の時に来日したイザベル・ユペール(Isabelle Huppert)さん。映画の試写会でのインタビューは、まさに圧巻の内容で、僕の記憶が許す範囲で、書いて残しておきたいです。
 Q:役作りについて、教えて下さい
 A:役作りに、あるイメージを持つこともある。この役の場合、炎をイメージした。でも、そういうイメージを持って、役を演じることは、何時もということではない。それは、例えば、夢に似ている。ある、インパクトのある画像が心に残っていても言葉に表せるとは、限らないし、かといって、曖昧なイメージなのに言葉で表現できることもある。
 Q:映画のテーマには、どのようにアプローチしましたか?
 A:出演者みんなで、一つのテーマを囲むように取り組みます。それは、あたかも、キャンプファイヤーのようで、みんなで輪を作って、炎(テーマ)に向かっている。ある者は、ぼんやりと、またある者は、じっくりと。炎の魅力に引き込まれて近寄ったり、近づきすぎて火傷したりと、一人一人が、それぞれの方法でテーマに取り組んで、一つの作品を作り上げています。
 Q:ロケでの撮影は、演技に影響しますか?
 A:ロケという事で、役者の演技が変わる事はありません。ただ、演技という事が、自分からの旅立ちという、メタファーだとすれば、ロケ地に旅に出る事は、そのメタファーと一致して、役者のモチベーションを上げる事になるかもしれません。映画の中で、登場人物は、周りからの視線によって形づけられるとするならば、同じく役者という仕事も周りからの視線によって形づけられる、そういうメタファーの一致を感じることはある。あと、ロケと言う事で言えば、ルミエール。そう、光が違う東京の光とパリのそれは、明らかに違うし、その時々にいろんな表情を見せてくれる。そういうことは、強く感じます。
 Q:監督は、若いですが、出演を決めた理由は?
 A:映画に関して言えば、キャリアも実績も知名度もまったく関係ないと思う。その人の感性が、大事なんだと思う。身を削って、表現することが、できているのか?要は、どう感じて、どう演じるか、そして、役者にとって不幸なのは、自由でなかったり、意味のわからないことをやらされたりすることだ。
 凄いです。ただただ感心しました。この後、会場からでた彼女にサインを求める人がいっぱいいましたが、嫌な顔をせず、ニコニコしながら、サインをしていたのが、印象的でした。僕もしてもらいたかったですが、フランス語の先生に見つかり、(授業をサボっていたのでした)クラスに戻りました~。

 

 

 


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