Archive for the ‘観たもの’ Category

映画に出たい!

2012-02-27

camera

 先日、博品館へニールサイモンの「映画に出たい!」という作品を見てきました。
 実は、この作品のお父さん役の台詞は、ほぼ覚えたことが有り、稽古もいっぱいしました。
最初、ストーリーを知っているから、芝居のあら探しになってしまうかなと
懸念してましたが、全然そんなこともなく、まったく逆でした。
主人公の台詞も感情の流れも分かっていたし、背景も熟知しているので
僕は、相手の台詞を聞くだけで、感情が勝手に動き出してきます・・・
自然と、自分のなかでいろんな感情が浮かんできました。
そして、思ったことが、あります。
なんて台詞を言うということに、普段気を取られているんだろうって
相手の台詞は、聞いているようで、聞いてなかったんだなあって。
芝居に集中しているようで、実は次の動きとか台詞とかに気が散っているんだ
ああ、ショックでも有り、かなり勉強になったなと思いました。
そして、そして、もう一つの発見がありました、
各シーン各シーンで、いろいろな一緒に稽古した女優さんの事が思い出されて・・・
そしてそれが、あたかも自分の人生でほんとうに起こった事の様に
少し大袈裟だけど、とっても内的な関係を持てたんじゃないかって感覚です。
これは不思議な感覚です。ほんとうに舞台で演じたわけでも無いのに
そして、その事をいままでまったく忘れていたって事、
お芝居の不思議さと、楽しさを改めて感じさせて頂きました。
僕たちは、ある一瞬の体験のために、生活してるのかもしれない。
かけがえのないある瞬間瞬間のシーン、それは芝居に限ったことではなく
生活の中でも、その時その時のゆたかな経験をすることが、大切なんだって。。。

 

 

 

フランス映画祭2010

2010-03-30

fetefilm

 今年もフランス映画祭に行って、3本の映画を見てきました。年々規模が小さくなっているような気がしたのは、僕だけでしょうか?
 注目は、映画「アメリ」の監督の最新作「ミックマック」ですかね。個人的には、クリスマスストーリーも見たかったのですが、秋の公開まで、お預けですね。

 さてさて、ジャンピエール・ジュネ監督の「ミックマック」
 僕は、基本的には、監督の映画作りの方法は大好きです。
 アメリのテイストは、賛否の分かれるところですが、監督の感性は、
 とっても、昭和な薫りがしてて、楽しいです。
 この映画も、アメリっぽいのですが、たぶん監督としては、
 こういった作風の映画にけじめをつけたかったのかな~?って、思いました。
 アメリのパロディも入れたかったらしいですが、
 オドレィトゥトゥさんに断られたとか・・・・
 理由は、「ココシャネル」のイメージを大切にしたいから、だとか
 このあたり、彼女の硬派さがうかがえるところですね。
 ダビンチコードのときも、最初は断ったらしいし・・
 バラエティ番組に出ておいて、バラエティ女優と言われたら、ムッとした
 どこかの国の、女優さんたちとは、ひどく違いますね。

 あと、ブリュノ・デュモン監督の「ハデウェイヒ」も良かったです。
 前作同様、フランドル地方の田園風景を舞台に、今度は宗教を通して
 自分探しをしていく青春映画です。配給の予定がないのが、残念ですね。
 印象に残ったのが、司会者の「随分哲学的な作品ですね」というおばかな問に、

 「僕の映画は、見てすぐ分かるような内容を目指してない。早くて、今晩、遅くて
何年か後に、ああって、思ってくれればいい。そんなことより、今、この場で、みんなで
映画を見たという、体験のが大事な事なんです。」

 なかなか、手強い良い監督さんの印象を受けました。次作も楽しみです。
 余談ですが、映画の中に出てきた犬が、可愛かった

 

 

 

イザベル・ユペール

2009-04-02

hupper1

 マスコミの人に対する毅然とした態度と、ファンの人達に向けた親しみに満ちた笑顔。知的であり、情熱的な彼女は、間違いなく世界を代表する女優の一人ですね。  前のブログで、触れた映画「ママン」の時に来日したイザベル・ユペール(Isabelle Huppert)さん。映画の試写会でのインタビューは、まさに圧巻の内容で、僕の記憶が許す範囲で、書いて残しておきたいです。
 Q:役作りについて、教えて下さい
 A:役作りに、あるイメージを持つこともある。この役の場合、炎をイメージした。でも、そういうイメージを持って、役を演じることは、何時もということではない。それは、例えば、夢に似ている。ある、インパクトのある画像が心に残っていても言葉に表せるとは、限らないし、かといって、曖昧なイメージなのに言葉で表現できることもある。
 Q:映画のテーマには、どのようにアプローチしましたか?
 A:出演者みんなで、一つのテーマを囲むように取り組みます。それは、あたかも、キャンプファイヤーのようで、みんなで輪を作って、炎(テーマ)に向かっている。ある者は、ぼんやりと、またある者は、じっくりと。炎の魅力に引き込まれて近寄ったり、近づきすぎて火傷したりと、一人一人が、それぞれの方法でテーマに取り組んで、一つの作品を作り上げています。
 Q:ロケでの撮影は、演技に影響しますか?
 A:ロケという事で、役者の演技が変わる事はありません。ただ、演技という事が、自分からの旅立ちという、メタファーだとすれば、ロケ地に旅に出る事は、そのメタファーと一致して、役者のモチベーションを上げる事になるかもしれません。映画の中で、登場人物は、周りからの視線によって形づけられるとするならば、同じく役者という仕事も周りからの視線によって形づけられる、そういうメタファーの一致を感じることはある。あと、ロケと言う事で言えば、ルミエール。そう、光が違う東京の光とパリのそれは、明らかに違うし、その時々にいろんな表情を見せてくれる。そういうことは、強く感じます。
 Q:監督は、若いですが、出演を決めた理由は?
 A:映画に関して言えば、キャリアも実績も知名度もまったく関係ないと思う。その人の感性が、大事なんだと思う。身を削って、表現することが、できているのか?要は、どう感じて、どう演じるか、そして、役者にとって不幸なのは、自由でなかったり、意味のわからないことをやらされたりすることだ。
 凄いです。ただただ感心しました。この後、会場からでた彼女にサインを求める人がいっぱいいましたが、嫌な顔をせず、ニコニコしながら、サインをしていたのが、印象的でした。僕もしてもらいたかったですが、フランス語の先生に見つかり、(授業をサボっていたのでした)クラスに戻りました~。

 

 

 

フランス映画祭2009

2009-03-18

Seydoux

 六本木で、行われていた映画祭に行ってきました。今年は、3本の映画を見ましたが、上映後の監督さんのお話はどれも楽しく、とても興味深い物でした。

 写真の女性は、レア・セドゥ(Lea SEYDOUX)さん、クリストフ・オノレ監督(Christophe HONORE)の美しい人(La Belle Personne)に出演しています。残念ながら、この映画の配給予定は、無いみたいです。
 この監督さん、僕は結構好きですね。前作のママンは、とっても衝撃的でしたが、今回は、なかなか叙情的なできあがりでした。監督さん曰く、前回は「夏」で、今回は「冬」という隠れたテーマがありますと言ってました。
 質問の中で、面白い答えがあったので、紹介します。
 Q:監督にとって、俳優選びとは?
 俳優は、映画にとって、フィルムの感度のようなもの。撮りたいイメージにどれだけ、近い色を出してくれるか、雰囲気を作ってくれるか、という事だと思う。今回は、ナチュラルな現代風ではなく、ロマネスク調を意識しました。

 そして、前作の映画の為に来日した、イザベル・ユペールさんが、はやりインタビューの中で、私は、映画に出演するとき、監督が無名だとか、若いだとか、実績がないなんてことを気にした事がありません。要は、監督の感性と私の感性が、合うかどうかだと思っています。と言っていた事を、思い出しました。この監督さん、ちょっと将来が楽しみであります。

 

ジョルジュ・バタイユ ママン [イザベル・ユペール/ルイ・ガレル] [レンタル落ち]

中古価格
¥3,500から
(2015/1/16 13:56時点)


 

 

 

Copyright© 2000 Yasunari KONDO All Rights Reserved.