Archive for the ‘懺悔話’ Category

原田眞人監督とのお仕事

2017-09-15

かなり前の話なのですが、最近、映画「関ヶ原」の監督さんとして話題としては、勝手に旬かと思って、時効成立していると思うので書いちゃいます。

僕は、当時、オ○カープロモーションにいましたが、次の日の仕事ですと事務所から、こんなことを言われました。
マネージャー:「インターネットに関するスチールのお仕事が入ってます。○○スタジオです。ヘアメイク、スタイリストがつきます。」
まあ、スチールの割にはスタイリストまで付くのは、ちゃんとした仕事なのかな?よくいくスタジオだし、何の疑いもなく詳細は聞きませんでした。
そして、現場へ、そこで最初の違和感を感じる。スチールって言ってたよな、やけに機材が多いけど、そんな大がかりなスチール撮影なのかな??まあ、いいやとスタジオ入り、早速メイクルームへ、
「おはようございます」
メイクさん:「おはようございます、よろしくお願いいたします。」
「詳細聞いてないんだけど、何の撮影なんですか?」
メイクさん:「さすが、本物は違いますね。そこに香盤表がありますよ」
「本物ってなによ。笑。香盤表があるの?へー?」
「えっ、監督って書いてあるよ、監督までいるの?すごいね」
「誰?原田眞人監督・・・・・え?ちょっと、まって、原田監督って、あの原田監督?」
メイクさん:「そうですよ」
「あの、有名な」
メイクさん:「はい」
「ちょっと、まってよ、じゃあ今日、スチールの仕事じゃないですよね。」
メイクさん:「はい、Vですよ」
「まじか、何を撮るの?」
メイクさん:「近藤さんとインターネットに関する対談です」
「・・・・・・、誰と」
メイクさん:「監督さんと」
シーーン

この時、僕はマネージャーの顔が浮かんで、あの野郎~、一言いえよ!
もうっ、こうやって、チャンス逃すんだよ、急に気の利いたこと言える訳ねえだろ!やべ~
知ってたら、昨日、原田監督作品、全部見たのに!

そして、撮影。原田監督目の前!
「アークショーン!」目の前で近いのに、声でかい!
うわぁ~~~~これか。ハリウッド仕込みのアクション初めて聞いたーーーーー!
来たーーーーー!
「それでは、近藤さん、近藤さんは普段どのようにインターネットをお使いですか?」
無茶、普通のしゃべり方じゃん。さっきのアクションとの落差に、笑いそうになる。汗

という冷や汗ものの撮影となりました。
監督!映画に使ってください!と言おうかと思ったけど
バイシンのCMで市川準監督と会った時は、みごとに玉砕したからな~~。
あんときは「つぐみ」しかみてなかったしな~と、
つい弱気になり言い出せず。
まあ、そう言って使ってもらえたことは、まだありませんしね、
みなさんは、どうなんですか?その辺のところ聞いてみたい。笑

息子さんとは、やや仲良くなりましたが、でももう、今は連絡もありませんけどね。

こうして、事務所の無茶振りと
チャンスを逃した事件でした。ちゃんちゃん。

メイクさん:「やっぱり、近藤さんすごいですね」

とメイクさんだけ、なぜか評価高がかった。笑

どうも、無茶振りは、近藤さんへという事務所の方針が見えた。

事務所で一番かっこ悪い人お願いしますと言われたときも
僕だった、
マネージャー:「そんなこと言われて、怒らないのは近藤さんしかいないと思いました。へへ」

 

 

 

大女優の付き人とデート?

2014-04-29

hanamizuki

 これから話す内容は、かなり古い、とっくに時効成立したお話ですから。フィクションです。笑
 大女優には、大方の場合、可愛い付き人が付き添っている。
 こんな漠然とした都市伝説が、僕の中には生きていました。
 そんなある舞台でのこと、やはり大女優、その女優さんには付き人が5人ぐらいいましたが、3人は確実にストライクでした。
 しかし、通常は管理が厳重で、普通に話しかけることも難しいのですけどね。
 女優さんによっては、付き人がほかの男の人と話をしているのを見ただけで「首」でした。
 そんな問答無用の世界でもあるわけです。だからこちらも気を遣うわけです。
 直接、注意してくる女優さんもいらっしゃいます。
 「うちの娘は、そういうんじゃありませんから、話しかけないでくれませんか」
 てなぐわいですよ。付き人同士の業務連絡だってあるんですけどね。

 そんなある日、舞台の袖で泣きそうな顔をしてたたずむ付き人を発見しました。
 内緒ですが、師匠同士が舞台で芝居をしている瞬間の舞台の袖の黒幕と黒幕の隙間が
 一番安全な場所にかわるホットスポットなのです。
 「どうしたの」
 「いえ、疲れているだけです」
 「そうか、たまには気分転換でもしたら?」
 「どうやって?」
 「たとえばドライブに行くとか」
 「じゃあ、近藤さんドライブに連れて行ってくれますか?」
 「え?えーー、そんなこと言われても、たとえば、何処に行きたいの」
 「私、海が見たい」 (げげ、昭和の青春ドラマみたいだ)
 「う~ん!。。。良いけど。。。よし、じゃあ、行くか!」
 「ありごとうございます」

 みなさんには、これがどれだけセンセーショナルな事かは、理解できないでしょう。笑

 まず師匠は、芸能界でも一二を争う、怖い女優さん?
 もし、見つかれば僕の師匠にも迷惑をかけることになる
 その女優さんは忙しい人で、いつ急な用事が入るかも分からない?
 彼女は、一番若い弟子で、上には姉弟子が4人もいる。
 彼女が自由になれる時間は、師匠が寝ている間だけ、しかもそんなに寝る人ではない。
 彼女の部屋は師匠と同じ部屋。
 電話を使うのは、危険すぎるし、携帯もない時代。
 宿泊先は高級ホテル、ここを誰にも発見されずに脱出し戻らないといけない。
 車ももちろん芸能レポーターがチェックしない車である必要性がある。

 これだけのミッションを僕たち二人以外の人には知られずにこなさないといけない!
 しかも、彼女と話ができる時間は、たぶん一日の中で1分ぐらい。
 あとは、姉弟子にかこまれている。
 まさにミッションインポッシブルだ。笑

 結果行きましたよ。笑。最終的には、彼女の付き人ではない親友が手伝ってくれて
 その子と三人で深夜のデートドライブです。
 高速をかっ飛ばして海へ、女の子二人が海ではしゃいでいるのを見てたら、
 そうだよね、まだ高校卒業したばっかりだからね。遊びたいよね。とつくづく思いました。
 どうして、こんな過酷な仕事を選んだんだろう?

 しかしそれにしてもこの口の軽い僕が、よくぞみごとなミッションをこなしました。笑
 友達にも、師匠にも、姉弟子にもばれずに、何事もなかったように千秋楽を無事迎えました。

 その娘とは、その後仲良くなったかって?そんなの無理ですよ物理的に。笑
 そんなに、挨拶もしないのが現状でした。
 姉弟子たちからは、千秋楽にプレゼントをもらったりキスされたり大変でしたが、汗。

 ただ、ボーリング大会の時の集合写真で、どさくさにまぎれて隣で腕を組んで撮ったのが
 彼女のお礼のサインだと、勝手に解釈して、よい思い出として残しました。
 古き良き時代だ。(おやじだ~)

 そして、可愛い彼女の行方は誰もしらない。

 くだらない思い出話をさいごまで読んでしまった人。ごめんなさい。
 ありがとうございました。いえ、これはフィクションです。

 

芝居をはじめた頃

2011-06-30

champs

 信じられないかもしれませんが、僕も信じられませんが・・
 パンツ一丁で、近所の定食屋とか、うろうろしていた様な記憶があります。
 いや、たぶんそれが許される土地柄だったと思います。(あやしいが)
 稽古場は、今思えばやくざさんの事務所もあり、いきなり「うるせー!」と
 怒鳴り込まれたりもしました。
 パチンコで、襲撃されたこともありました。こわかった~
 しかし、稽古場には盗品もいっぱいあり(ひろっただけですよ)、
 警察沙汰にできませんでした。
 座長さんは、住所不定無職前科三犯の人で、副座長さんは、詐欺師らしかったです。
 まあ、前科と言っても、たかだか麻薬なんで、いいかって思ってました。
 金銭トラブルは、何時ものことで、あまり気になりません。
 座長さんの郵便物が、新宿交番あづかりになっているのをカッコイイ~と感心
 稽古場を追い出された後は、青少年オリンピックセンターを借りるも
 お金がないから、2度ブラックリスト入りし、(これ僕です)
 3度目は有無を言わず警察だと、恫喝されるので、
 あとは、水のないプールで稽古したり、廃校に忍び込んで稽古したり・・
 しかし、廃校も・・、だれかリンチされてると近隣の人の親切な通報のおかげで
 パトカーに囲まれて、あえなく連行される。
 芝居のチラシを電柱に貼ってこいというので、下北で貼るも5分で警察に連行される
 今度は原宿で、チラシを配れというので、配ったら1分でやくざに囲まれる
 役者修行だと言われ、ホストクラブで、時給250円で働かせられる。
 仲良くなったホステスさんの送迎のバイトするも
 やくざの抗争にまきこまれ銃撃戦がお店であり、やめる
 道玄坂でやくざに殴られ、顔面にあおたんを作る
 舞台のセットを運んでくれと言われ、車を運転するも
 六本木の交差点にとめてて、レッカー移動、しかも車検切れてるし
 僕は知らない、言われたことをしただけですと警察で言い訳してると
 座長が横で、突然「こいつ麻薬常習犯です」叫びはじめるし
 なんで、そういうときだけ、真に迫った芝居が出来るのあんたは
 最後は、女を取ったとか取らないとかで、もめて辞めました
 なんだったんだろう。
 芝居をすることは、警察のやっかいになることなのかと思ってましたが・・
 今思えば、こうやって、ちょっとづつ怖いものがなくなっていくことが
 演技の勉強に少しはなったのかな??
 今の人たちは、こんなことにはならないと思います。
 ブラックスワンの映画のように、自分との戦いは、とっても精神的な
 内側の仕事のように、思われます。
 どちらが良いのかは解りませんが
 ただ、言えることは、こんな環境だったから、
 ド下手な僕が芝居を続けることができたんだろうと思います
 外側のお節介な人々に僕のもってる殻をかなり壊そうとされた
 なんか、どうしようもない流れの中に身を任せていられた。
 幸せな時代だったのかもしれない・・
 もう、そんな甘えは誰にも許してもらえない時代になりました。
 恩返しの意味も含めて、がんばろっと

 

 

舞台の袖で早変わり

2010-07-30

paris14

 ここで言う早変わりは、衣装に仕掛けがあるわけでもなく、ただただ一生懸命早く着替えると言う話です。
 本来、着替えは楽屋でしますが、それでは間に合わない場合は、舞台の袖やセットの裏にある早変わり場所で着替えます。
 この場合、衣装は自分で、あらかじめ袖に用意しておきます。

 このあらかじめ用意するというのがみそで、いろいろなドラマが展開します。

 ある舞台で、江戸の火消しの役だったのですが・・
 「どけどけどけぇー、」といさましく纏をかざして、芝居をしてたら・・
 なんか、変な人がいるんですよ・・・で、よく見たら・・
 下になんにもはいてない
 ええーわ、忘れたんだ
 本人は、あせってるのか、くそまじめな顔して芝居してるし
 もー、それみながら演技するこっちの身にもなってよ、
 台詞は、おおまじめで、心の中は大爆笑ですよ

 そうです、役者は常に気持をこめた芝居をしてます。(嘘)

 そんな中、ある舞台で、かなりシビアな早変わりが委せられました。
 まあ、僕ぐらいのクラスにならないと無理でしょうきっと、と思われる難易度の高いやつです。
 しかも、となりでは、大大大御所が、同じく着替えます。
 こちらは、専属の衣装さんが二人、床山さん、付き人といっぱいいます。
 そして、こいつ大丈夫かよという目で見られながらも、無難にこなし、
 で、すこしだけ、余裕が出てきたある日・・・

 やられました

 なんと、帯が結んでありました

 「げげー」と思いながらも、やっとのことで間に合わせました。
 すると、次の日から、毎日のように仕掛けてくる、仕掛けてくる
 衣装が縫い付けてあったり、隠してあったり、
 しかも、相手は大大大御所のスタッフですし、・・

 これは、いじめとも、思いました。が

 ふと、考えると、最後は必ず、僕は間に合ってました。
 ま、まさか、この人達は、僕の着替えの力量に合わせていたずらをしかけてきていた。
 まさに、神業に近いこれぞ、プロのわざですね。
 そして、気がつけば、仲良くなっているのです。
 そこには、会話も何も必要ではありませんでした。
 こうして、いつのまにか僕もプロの仲間入りをしていくわけです。
 そうです。舞台にいじめは、ありません

 

 

 

至福の代役

2010-01-19

paris12

 舞台の稽古というのは、自分の出番が無くても休む事は出来ません。ただ、有名人に限っては、その限りではありません。他の仕事とか、プライベートなこととか、遊びとか、理由は知りません~。
 僕は、台詞も無いし、演技も下手なので、稽古中やる事が無いんですよ、それで他の人の台詞を覚えていたりしてました。はい。

 そんなある日、ある超美人女優さんが、自分の場面を稽古したいと言い出しました。 

 
 しかし、相手役は、休みです。
 しかも、ラブシーンです
 演出部の方々が、無理でしょうとやんわり断ってましたが
 その、女優さんは、せっかく来たのだから、動きだけでも確認したいと聞きません。
 その時、演出部が僕を見るわけですよ。
 僕は、目で行けますよと合図します

演出:「あの~、相手役、近藤でよければ、・・・」
女優:「かまいませんよ~」
演出:「近藤、台詞と動き、入ってるか?」
僕 :「はい、2分あれば、OKです。」
女優:「よろしくお願いします。」

 えらい勢いで、台本を読み返して、よっしゃー!

演出:「近藤!あくまでも動きの確認だから、本域でやらなくて良いからな!
     わかってるな!」
 んな、わざわざ、念押ししなくても・・・
僕:「わかってますよ、そりゃあ、真剣に行くにきまってるじゃん」

 そんでまあ、動きの説明もしつつ、女優さんの台詞の間違えも直しつつ。。。
 やってきました、その時が

 「好きです。」「私も」ガバーー-。ムギューーー

 至福の時間

 しかし、ふと我に返ると、耳に入ってくるヤジ・・???
 「ヒューヒュー、近藤、やーらしいぞ!」
 「手がぎこちないぞ~」
 「力はいりすぎだぞ-!」

 神聖な、稽古場なのに、 
 誰が、やじってんの?と、顔を上げれば、
 な、な、なんとー、演出部

 なんて人達なんだ~、もう、信じられない

 へへへ、でも、ラッキー台詞は入れとくものですね。
 有名人のみなさん、どんどん休んで下さいな~。

 しかし、思ったより胸が小さかった・・・・・

 

 

舞台でつまみ食い

2009-09-28

paris7

 本番中、突然死ぬほどお腹がへる事があります。このままだと、終演を迎えられないんじゃないか?と思ったりします。楽屋に帰って、何かをつまめば良いのですが・・・
 ある公演で、そんなたまらなくお腹がすいてスタンバイしている時、ふと舞台を見たら、主役の人が、舞台上で美味しそうに栗を食べているシーンをやっているじゃないですか!

 うまそーだ!

 これで、暗転になったら、きっとあの栗はテーブルに置いたまま、袖に引っ込むだろう~。

 そうか、暗転中にスタッフよりも先にあそこに行って栗をゲットしよう!

 そして、まんまと栗をゲットして、懐にしまう。何事もなかったように、その場面を演じて、袖に引っ込む。

 後は、ゆっくり隠れて栗を食べる・・・・

 ・・・・!

 ところが、懐に入れたはずの栗が、ない!どうして!げげっ!

 おそるおそる、次の場面をしている舞台を袖から見ると・・・

 なんと舞台のあちこちに栗が散乱しているでは、ないですかっ!

 やばいな~、ばれたら怒られるだろうな・・・

 どうなったと思いますか?

 全然大丈夫でした、僕の残りのシーンで、一つ一つ丁寧に拾いながら、芝居をして、終演までには、みごとに舞台から栗はなくなっていました。めでたし、めでたし。

 そうなんです、役者はつねに状況変化に対応できるよう芝居をするのです。

 教えとして、稽古の段階から、舞台をまんべんなく動けるよう芝居をつけておく事ですね。(笑)

 

 

 

舞台でラジオ

2009-07-12

paris3

 舞台で、ソワレといえば、世の中ではゴールデンタイムといわれ、それはそれは色々な番組の誘惑もあるわけですね。  僕は、意外と野球が好きだったりして、お芝居中も試合の経過が気になる事もあります。(いえ、あってはならないことです。)
 それでも、人に迷惑にならないよう、ラジオをイヤホンで聴いたりするわけです。
 それが、ある日イヤホンをしながらメークをしていた時です、農民の役だったので、ちょいとほっかむりを手ぬぐいでしてみたわけです。
 あららっ!、なんと、イヤホンしてるのが隠れるじゃないですか~!
 そして、悪魔がささやきます。「このまま舞台に出てもばれないぞ!」
 これなら、出番の直前まで聞いていられるな~。よし、やってみるか・・・
 勇んで、舞台の袖へ、うんうん聞こえる。よしよし、と喜んでいるのもつかの間で、出番が!
もういいや、スイッチ入れっぱなしで、行ってやれ~!
 注意!よい子は、けっしてまねをしないで下さい

 どうなったと思いますか?

 結果、舞台の上では、ラジオは入りません!ザーザー言うだけでした。
 そりゃそうだよね。マイクの電波がいっぱい飛んでるしね。音響さん、ごめんなさい。もしこの日、マイクにノイズが乗ってたら、俺の責任なのかも???

 そうです。役者は、舞台で演技だけしてれば良いという訳ではないのです。

 することは、いっぱいあります。  ??

 余談ですが、あるお芝居で主役の人が相撲好きで、舞台中に最後の一番が必ずあるんです。なんとですね。これが、終わらないと舞台に来ないので、そのシーンに出ている人たちが、一生懸命、相撲の取り組みに芝居の進行をあわせるわけですよ、アドリブを入れたりしてね。袖では、スタッフが変なブロックサインを舞台に向かってしたり、楽屋まで走って、まだですか!と右往左往するんですね。お客さんは、何事もなかったかのように芝居を見ているし・・。面白いですよね。

 みなさんは、こういう状態をどう思われますか?

 勉強になりますよ。ほんと。これも、ひとつのドラマツルギー??

 

 

 

エレベーターのくまちゃん

2009-06-14

huji1

 僕が、初めて帝国劇場に足を運んだとき、ミーティングをすると言われ、地下の喫茶店「羅生門」へ、そこで、紹介されたのが、くまさん。とにかく凄い人だから、何かあったら聞けばいいと説明される。しかし、いったい誰なのか教えてもらえず。
 そして、稽古場へ、なんとくまさんは、演出家よりも良い場所で椅子に座り腕を組んで、稽古を見ているではないですか!ますます、わからない人だ~。
 どっちが、演出家だかわからんと、ぼやいた演出家もいましたが。(笑)
 実は、この人、掃除のおじさんでした。!
 でも、でも、凄いんですよ。そのすごさは、舞台が始まってわかりました。舞台が始まるとエレベーターを手動運転に切り替え、乗り込みます。
 ここで、帝劇のフロアー構成を説明しますと
9階 稽古場、
8階 楽屋
7階 楽屋
6階 楽屋
5階 楽屋 照明・音響室
4階 衣装 床山
1階 舞台
B1階 楽屋口 オケボックス
B3階 奈落
B5階 奈落 稽古場
 ザクッと、こんな感じですが、2機のエレベーターでこの階数をこなします。芝居によっては、100人近い出演者が行ったり来たりします。それに、スタッフと次の舞台の稽古に来る人達などなど・・・。
 さあ、ここからです。くまちゃんの凄いところ、エレベーターの中は、音だけが聞こえます。くまちゃんは、どのタイミングで役者が動いてステージにいなければいけないのか全て把握しています。
 重要な役の俳優さんは、エレベーターは、呼ばなくてもその階で止まって待っています。それが遅ければ、有名な俳優さんにも遅いと指摘します。なにかトラブルが発生すれば、すぐに気づき対処します。誰が、急いでいて、誰がエレベーターを必要としているのか、瞬時に判断します。必要ないと判断されれば、乗車拒否もあります。
 よく若い俳優さんが、意地悪されたと言ったりしますが、それは、意地悪ではなくて、くまちゃんが必要ないと判断したわけで、若いから階段を使えと言う事か、芝居に関係ない移動だとばれてるわけですね。もちろん台本は持っていますが、なにか書き込んであるかというとそういうわけではなくて、稽古を見て舞台が始まる時には、体で覚えている感じです。まさに、これぞ職人芸ですね。
 休みの日は、他の劇場の芝居も行きます。名古屋でも大阪でも、深夜バスに乗って、芝居を見て帰って行きます。
 芝居をこよなく愛し、役者と交流しながら、みんなに愛されながら、舞台を支えてる。すばらしいですね。

 くまちゃんは、もう退職なされてしまいましたが、こんな伝説の人と一緒に仕事を出来た事を今誇りに思う次第です。

 

 

 

出とちり

2009-05-15

paris2 まあ、毎日舞台に出ていると、たまには出番を忘れたりするわけです。(普通の人はそんなことはないと思います)
 有名人が、これをしでかすと、出とちりそばとか言って、おそばが振る舞われたりして(由来不明)、それはそれは、楽しいイベントな訳ですね。
 けど僕たち端役は、そんな財力があるわけもなく、悲しい事件にならないように必死です。でも、よくやりました。(爆)
 このことは、師匠はあまり知らないと思います。(さらに爆)
 宅急便屋さんの役の時に、さあ出ようと思ったら、大道具さんに羽交い締めにされて、「何考えてんだ!そっちは舞台だぞ!」と止められた事もありました(汗)。逆に、出前のお兄さんが、舞台を横切ることもありますが・・(?)

 しかし、師匠にばれた事もあります。
ある舞台が始まる前に、師匠と将棋をする事になりました。
師:「おい、大丈夫か?」
僕:「はい、大丈夫です!危険がないように、衣装はわざと着ません、こうすれば、前もってやめるでしょう。笑」
師:「おお、そうだな」
・・・・・・・<時間の経過>・・・・・・
 そして、将棋も佳境に入った頃!
師:「おい、これオープニングの音楽じゃないのか!」
僕:「えっ?あ”-!そうです!げーーー」
 

 もう、後の祭りですね。とりあえず、遅れて舞台へ、そして袖に引っ込んだら、すっ飛んで、座長の部屋へ!!
 「失礼します」と入室して、次の間に土下座してですね。
座:「どうした?」
僕:「はい、出とちりました!申し訳ありません。」
座:「あぁ、そうか」
僕:「・・・・・・・・・・」
座:「下がってよろし」
僕:「はい!」
 おー、命拾いしました。座長の寛大さに感謝!そして、この迅速な行動をした自分にあっぱれ!
こうして、役者は、短い命をつないでいくのでした。しかしですね、板付きの役者がいないのに、どうして舞台監督さんは、幕を開けるかな~。?
 そうなんです。役者は、自分の身は自分で守るのです。

 

 

 

舞台で居眠り

2009-03-04

paris1

初めて、舞台で居眠りしたのは、東宝の初舞台でした(爆) 

 とにかく、付き人をしていた事もあって、舞台裏では、ひどく忙しく。お茶を飲む暇もなく、全力で走っているような状態でした。
 それにくらべ、舞台の上は、静かで、誰にも怒られないし、照明は温かだし、日向ぼっこをしているような気分でした。それは、自分の事だけを考えられる、至福の瞬間だったんですね。そして、寝ました。こうした場合、普通の人とは逆に、明るくなったら目が覚めるのではなくて、暗転で目が覚めます。なんて、合理的な!
 なかでも、一番爆睡したのは、ある地方での公演でした。最後、カーテンコールの時、僕たちは、正座をしていて、頭を下げる状態でした。舞台にデコをつけたまま、緞帳が下りるのを待つわけです。緞帳が、降りきる前に頭を上げると、ちょっと間抜けなのですね、かといって、自分でタイミングを取るのは、面倒くさいので誰か起き上がるまで、待つわけです。そして、いつの間にか寝ました。気がつけば、舞台にはもう誰もいません、それどころか、セットがおおかた片付いていました。舞台の中央で一人土下座したまま、微動だしない役者を見て、スタッフの方々は、どう思われたか、考えるだに恐ろしいです。誰か起こせよ!そうです。役者は孤独な仕事なのです。
 また、舞台で寝るのは、出番があるときだけでは、ありません。師匠の動きを勉強したり、他の人の芝居を勉強するために、舞台の袖から、芝居を見ていたりします。しかし、袖は、人の出入りが多いし、だいたい邪魔ですね。それで、一番見やすい場所はというと、花道の揚げ幕のところです。そこからそっと、幕を開けて見るのです。でも、一ヶ月だいたい50ステージ弱ぐらい、そりゃ毎日見てたら、飽きますよ?で、ある日、寝ました。ふと目を覚ませば、全然違う場面をやってます。しかも、手には、師匠のスリッパがあったりして、やばいです。師匠は、楽屋まで、裸足で帰った事になります。がしかし、師匠は怒りません、それは当たり前でしょう。それが信頼関係って奴ですよ、僕が居眠りしてたなんてだれも信じませんから。(笑)そうです。舞台は信頼関係を築く場所なのです。
 
 
 
 
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