フィットモデルというお仕事

umi

本人は、役者のつもりですが、事務所的には、モデルですので当然モデルの仕事をしてます。ただ、ここで、ぶっちゃけるのも何ですが・・、どうも、モデルになりきれてないな~と、プロの方を見てると、自分としては反省しきりというか、向いてないのかなと思ってしまっていたりしてます。そんななか、フィットモデルというお仕事をもう一年近くやってます。この仕事は、格好良くなければいけないわけではなし、まあポーズをとったりする必要もないので、とっても気分は楽なんです。(笑)
 最初は、どんな仕事なのか、意味も分からずに行きました。なんとなく、気乗りもせずに(ごめんなさい)しのぎの仕事だな~と漠然と、顔を出したものです。それで、フィットモデルというのは、たぶんこんな仕事です。新しくデザインされた例えばシャツ(最初のは、白い布でその場で切ったり縫い直したり出来るのです)を着て。さて、格好いいかどうか見てみます。その場で、コンセプトの説明とかがあり、その後、デザイナーさんたちが、意見を戦わせます。それから、今度は僕の体に合わせて、そのシャツを直していくのです。本来、ボディと言われる人形があるのですが、やはり、生身の人間に着てもらった方が、感じがつかめるみたいです。数日たつと今度は、それらしい布地で作られてきます。この時点で、究極のオートクリュールですね。僕の体に合わせた一体ものです。ここで、細かくデザインを直します、それと同時に、ディテールが決まっていきます。営業サイドの金額的なこと、工場サイドの技術的なこと、売り場サイドのお客へのアピールのこと、そして会社のコンセプトの整合性、全国展開なのかピンポイント戦略なのかなど、すごく多くの要素が、闘わされます。しかし、服飾という仕事が、こんなにも奥が深く、また、デリケートなものだとは、知りませんでした。ださい僕を、まち針一本で格好良くしてしまうデザイナーさん!ほとんど、喧嘩ですかこれは!というほど意見を闘わせるスタッフの人たち!デザインに関する奥の深いうんちく!それに、すごいひとこと、「目先のかっこよさを追ってもだめだぞ!哲学がなければ!哲学のない服をデザインするな!」と叫ぶ先輩デザイナーさん!一つのシャツに一時間ぐらい話し合ってしまうこともあります。そしてその間、ボーと立っているのが、僕の仕事です。~。数日後に今度は、工場がサンプルを上げてきます。そこでまた、修正。またまた、数日後今度は、各色サンプル、そして、最終チェックです。このころには、僕のオートクリュールから、一般的な洋服になってます。そんなわけで、だいたい一年前から、この作業が、開始されます。つまり、春に次の年の春物を着るわけです。これって、分かっていても、ちょっと不思議な感じで、タイムスリップにも似た感じですよね。(*注意、全ての商品がそうでは無いです、早いものは3ヶ月後のものもあるようです)

 それにしても、最初は、なんだかな~と思っていたこのお仕事、すごく勉強になってます。トップデザイナーの人とお話しできるのも勉強だし、うんちくも聞けるし、着こなしも直してくる。会社も勢いがあって、活気にあふれています。こんな勉強して、ギャラ頂いて、やっぱ良い仕事だなと、今では感心してます。そして、哲学の無い服を作るな!のお言葉、その時は笑ってしまったけど、重い言葉ですね。一事が万事だと思います。今、この日本は、滅びるとも言われて、不安視されたりもしますがー、この哲学が備われば、明日にでもアジアのトップの国でしょう!ねえ。哲学のある役者をめざします!ああ、僕はうるさいぐらいかー、ごめんさい、大人しくしておきます。(笑)

 出演日記にもどる

 

 

 


Copyright© 2000 Yasunari KONDO All Rights Reserved.